・双交霊念門
特別な力を持たされた武侠たちの物語。
人体九番目のチャクラを開き、力を手に入れようとしていた支配者がいた。その研究は人体実験にとどまらず、呪術魔導にまで及んでいたが研究は実を結ばず、計画は頓挫しかけていた。
そのとき一人の男が現れた。
これさえあれば内功のないものでさえ達人に勝てる。
 そういう触れ込みでもたらされたモノを藁をも掴むつもりで行なった実験は、成功であった。


支配者は配下を連れ、男の言われるままにその地へ赴いた。
薬はその地で取れるが邪魔な者たちがいるという。
支配者に依存はなかった。たかだか村1つ。今までの実験の犠牲よりはよほど少ない。


支配者には誤算があった。
1つ、邪魔者たちが思った以上に手ごわかったこと。だがこれはその薬がその地にあることの証明にしかならない。
1つ、封印されていた蓋を外したところ、その薬は空気に溶け、ほとんど手に入らなかったこと。
1つ、これは人が手に入れてはいけないものだったということ。
1つ、もはや自分が人間ではなくなってしまったということ・・・。


世界に散った薬は人々の体に浸透した。だがそれは極無害なものに過ぎなかった。一部のモノを除いて。
霊念門事件と呼ばれた事件から18年。世界は変容しようとしていた。


それは最初、本のごく一部の者に内功の一形態として現れた。その力は50年もの修行をも凌駕し、人間の限界をも超えているように思われた。
人々はやがて気づく、人間の限界を超えたわけではない、彼らは人間を止めたのだと。


”越者”彼らはそう呼ばれ、やがて武侠を含む人間たちとの戦いにと発展していく。
越者の持つ能力は強力であるが、その力は強力すぎるがゆえ、己を滅ぼす諸刃の刃でもあった。過ぎたる力はやがてその心を徐々に削っていき、人でない邪悪なるモノへと変貌させる。心を無くしたものを人々は恐れを込めこう呼んだ。”邪無”と。
争いは徐々に「人 対 邪無」の様相を呈してきたが、邪無でない越者はどちらとも相成れず、双方より攻撃を受けることになった。越者がいかに強力といえどもその数はあまりにも少ない。彼らのうち大半は人の世界に溶けていくことを望み、残りは越者として生きていくことを望んだ。


そして今、人間の世界で、人間であろうとする越者と、人間を支配せんとする邪無の戦いが始まろうとしていた。



霊念門功夫

光天功
内力を光に変換させる能力を持つ。その速度は何者をも凌駕し、その眼はどのようなものも見逃さない。
玄狗功
内功を雷に変換させる能力を持つ。人体に流れる生体電気を強化させることにより、全てを砕く一撃を与える。
血晶功
自らの血に気をめぐらせ自在に操る能力を持つ。偽人をよく使う。
獣身功
形拳の一種。自らを獣とみなすことによりその力を振るう。あまりの気迫により他人からは体が獣になったように見える。
印柔功
ヨガの流れを汲む功夫。肉体を自在に変化させることにより人あらざる角度からの攻撃を行なう。肉体の酷使には痛みを伴うが、内功で軽減している。
風猿功
白猿神に伝えられたとされる拳法。そのあまりの技の切れに”風を纏う拳”の異名がある。
練金功
徐福により完成された方術を功夫としてまねたもの。内功を練ることによりあたかも無から有を生み出すように見せる。
脳磨功
知力と神経を加速させることにより圧倒的な反射神経を得る功夫。戦術にも優れる。
操界功
気により周りの物体を操る功夫。彼らの手にかかれば花でさえ凶器になり、道は無限の距離を持つ。
炎氷功
己の体や物体の温度を操る功夫。右手で天を焦がし、左手で地を凍らす。彼らに狙われ逃れる術はない。
香惑功
静かであるがもっとも恐ろしい功夫。その力は心を惑わし、人を意のまま操る。離れた場所からも作用するので逃れる術はないが、不可思議な香りが漂うことが知られている。
縛牢功
力の方向を逸らす功夫。加えられた一打は自身へ跳ね返り、軽功は大地に墜ちる。



前半は本当にどうでも良いな。やはりきちんと考えてから打たないとダメだ・・・。