ガンメタル柳生

ミレニアムの時代、”柳生”と言われる武術の一派があった。フォースの扱いに長け、支配者の庇護を受けた柳生はアガスティアにおいて栄華を極めた。やがて武術界に粛清の嵐が吹き荒れる。柳生の支配において逆らう者達が咎人の刻印を押されフォースの海へと追放されたのだ。それには他流派だけではなく同じ柳生の名を冠する者たちも含まれていた。
”メナスハザード”後年そう呼ばれる事件に対し、まっさきに動いたのもやはり柳生であった。
もはやその地位は磐石であり、並び立つものなき無敵の軍団。
フォースの海から迫り来る白き異形”メナス”でさえ敵ではないと思われた。
彼らは知っていた。その構えを、技を、力を。
フォースの力を受け蘇った過去の亡霊。
咎人として追放されたメナスの前に、不敗といわれた柳生の剣が・・・折れた。


柳生が弱かったか? けしてそんなことはない。並居る強豪を蹴散らして手に入れた天下一の称号は伊達ではない。
問題があるとすれば使い手の問題であろう。
「切っ先の届く奴はすべて斬る! 届かない奴もすべて殺す!」
剣と銃の融合を体現したお家芸であるガンメタル柳生はその破壊力に負い手比類なき強さを誇った。だがそれはフォースの扱いに長けていることが第一条件となる。他流派の優れたフォース使いは全て咎人となっている。そして真剣による立会いを禁じ、広く使い手を集めた結果、技が衰えるのは仕方ないことであった。長い太平の世に人々は道場の中以外の争いを忘れ去ったのである。
柳生以外の武芸を操るメナスに対しフォースの力の弱い者や真剣を始めて握る者たちに抗すべき術はなく、次から次へと湧き出るメナスに一部の達人だけでは押さえきれるものでもなかった。
やがてこれが悲劇へと続いていく。